スペシャル対談【福岡市長×実行委員長】
博多・天神の冬の風物詩に育ったクリスマスマーケット
佐伯:クリスマスマーケットは今年で博多が7年目、天神が節目の5年目を迎えました。一昨年からエルガーラ・パサージュ広場でも開催することになり、クリスマスマーケットの「光の環」が福岡にどんどん広がってきています。
高島:実は、市長になって間もない頃、街路樹にイルミネーションを飾る期間に規制があることを知り、長期間飾ることができるよう規制緩和を行いました。それが「光の環」が広がるきっかけになっていたのならとてもうれしいです。天神の会場になっている市役所前の広場も、芝生の上でハトが昼寝をしているのを見て、「街のど真ん中であるこの価値ある場所を全く使っていない」と痛感し、民間に貸し出すことにしたんです。行政にも一定の収入があり、市民は新たな街のにぎわいの場で楽しめるという三方良しとなるルールを作り出すことができました。
佐伯:海外のクリスマスマーケットを実際に見に行ってきたのですが、市役所の前には必ず大きな広場があり、大きいところは300店舗ものヒュッテ(仮屋)が立ち並んでいるのを目にしました。同じように福岡でも、駅前や市役所前など一等地でやらせていただけているのはありがたい。これも行政の協力のおかげだと思っています。
高島:福岡のクリスマスマーケットは、本場にも劣らず、よりリアルにこだわってクオリティーが高いですよね。それも若い人のとがったパワーと人生の先輩方の実行力をうまく融合させる、佐伯さんの「未来を引き寄せる力」が魅力的だからなのだと思います。
福岡だから実現した新しいイベント
佐伯:それも福岡だから実現できたと思っています。春にはどんたく、夏は山笠を代表とする熱狂的な行事がありますが、冬はみんなが一緒になって楽しめるこれといったイベントがなく、寂しいと感じていました。そこで新たな風物詩を創り、多くの人々を幸せにしたいという思いから「クリスマスマーケットをやろう」といろんな方に声を掛けていったのです。 1年目は実績も前例もなかったので、「とにかく開催したい!」という熱い気持ちだけで実施にこぎつけましたが、今はどのようにして100年、200年と続く文化としていくかを考えています。
高島:そこが共感を呼ぶんでしょうね。
佐伯:当初は、冬の夜に誰が来るの? なんて言われたこともありましたが、続けてみて「冬の夜の方が人が集いやすい」というのを実感しています。
高島:ナイトタイムエコノミーは冬がお薦めということ?
佐伯:はい。福岡の夏は、。スーツ姿で2時間も3時間も屋外で飲むには暑いです。それに比べて、11月や12月の夜空の下の方が、ビールだとすっきりとした喉越しを感じられますし、寒いなと感じたらホットワインを楽しめるので、自然と滞在時間が長くなります。
高島:なるほど、冬でも外で楽しめるのは九州・福岡の強みかもしれませんね。
福岡市のこれから
佐伯:最近、パリに行った際にキックボードで街中を乗り回してきたのですが、福岡市は渋滞の緩和を目的とした公道での電動キックボード使用の規制緩和を求めるなど、やはり高島市長はスピード感がありますね。
高島:自動車道の横に路肩を広めに取るなど道路もインフラを整備して、キックボードのような新しい移動手段を安全面も十分考えながら使えるようにしたいと思います。
佐伯:シャンゼリゼも以前は真ん中に路肩があったのですけど、サイドに専用の車線を設けたりと、街がキックボードを使いやすいように変わっていっています。
高島:時代に応じて変わり続けることができる都市が最も強いですよね。福岡は、2000年の歴史があるという重厚感に併せて、チャレンジできる都市です。わくわくする街でありたいじゃないですか。ただし「笛吹けど踊らず」では、うまくいくものも台無しになってしまいます。福岡は佐伯さんのようにチャレンジしてくれる若者が多くて頼もしいですね。
佐伯:市長のような風穴を突破してくれるリーダーがいて、福岡の企業はエネルギーがあり、みんなが持っているアイデアがどんどん出てきて楽しくなっていると思います。
高島:福岡市の就業者の約9割は第三次産業に従事しているので、人が集まってこその福岡の成長だと思います。なので、いちイベントやっていますという単純な話ではなく、成長戦略のひとつとしてぜひこれからも大活躍をしてほしいですね。